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◇◇◇
[渡辺 side]
高校入学して数ヶ月。
夏休み明け一発目の登校日。
「おっはよー!」
渡辺「うるせぇ」
グチグチ言いつつも今日はAと登校できるのかと嬉しくなる。
目を開けてAを見るとたまたま見えた太もも。(マジで故意じゃない!ベッドの側に立つのが悪い!)
渡辺「お前どうした!」
手を引いてベッドに座らせてスカートからチラリと見えるあざを指差す。
よく見るとあざがあるのは一箇所だけじゃない。
Aの職業上、軽いけがだの痣だのはよく見てきたけど、ここまでのものは初めてだ。
「あー撮影でちょっとね?」
聞けば夏休み中に交通安全に関する動画の撮影があったらしい。交通事故の再現映像で車にぶつかったときにできたらしい。
渡辺「やり過ぎだろ…」
「まぁ、私たちの仕事ってそんなもん。特に高校生になったらもう大人と同じ扱いだし。」
渡辺「そんなこと言ったってっ」
「これからこういうこともっと増えるよ」
基本安全だし安心してよと笑うAに俺は笑い返せない。
「傷だらけでお嫁にもらってくれる人はいなくなるかもだけどね(笑)」
そんなの俺がもらってやる!
そう言ってやりたいけど、まだ俺にそんな事を言う勇気は無くて言葉を飲み込んだ。
ママ「A〜?翔太〜?時間大丈夫〜?」
渡辺「あっやべ!」
時計を見て時間がヤバいことに気づく。
「下おりてるから!」
渡辺「おう!」
Aが外に出たのを確認してマッハで制服に着替える。職業柄早着替えは得意だ。
Aに教えて貰って何回も練習したネクタイも完璧。
髪の毛は…学校でやればいいか!
ヘアアイロンとワックスをカバンに突っ込んで階段を下りる。
「涼太、先行ってるって!」
渡辺「わかった!」
「じゃあママいってきまーす!」
ママ「気を付けてー!」
俺を放置して先に行ってもいいのにママと話しながら待ってくれていたA。
靴を履いて玄関を開けて、俺達は駅に向かって全力で走った。
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作者名:雪 | 作成日時:2024年4月6日 18時