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[渡辺 side]
入学式が終わり地元の駅に帰ってくると、停車場に見慣れた車が停まっている。
ママ「翔太、涼太、乗って!」
凄い剣幕のママ。
宮舘「何かあったの?」
涼太が優しく問いかけると、今度は涙を浮かべ始めるママ。
ママ「Aが…」
その後の言葉を聞いて俺達は言葉を失った。
ママに連れていかれたのは大きな病院。
入口で受付をしてAのママが教えてくれたという病室へ向かう。
ママ「失礼します」
ノックをして声をかけて、ママを先頭に順番に入ると…そこにはボロボロの姿のAが横たわっていた。
「「A!」」
俺も涼太も名前を読んでAに駆け寄る。意識が無いらしく、俺達の声に反応することはなかった。
咲良母「私達のせいなんです…」
泣きながらAのお母さんは何があったのか話してくれた。
危険すぎるスタントの仕事が来たこと。計画書を見てAは断ると同時に受ける人もいないから計画を変更すべきだと事務所の社長に言ったこと。Aの話を聞かず、Aが受けないなら後輩にさせると社長が言ったこと。…後輩を守るために…自分が受けると…言ったこと。
咲良母「Aなりに準備をしたんだと思います。本当だったら命を落としていてもおかしくなかった…」
計画書通りの内容でいかに自分を守れるのかAはシミュレーションと練習を繰り返していたという。
咲良母「毎晩毎晩練習しているAの姿を見ていたのに…私達は気付かなかった…止められなかった…」
Aは計画書の内容を両親には伝えていなかったらしい。数日前…涼太が連絡が取れなくなったと言ってた日に撮影に挑み、A予想していた通り事故が起きて救急車で運ばれたという。
本来であれば命を落としていてもおかしくない。でもAはなんとか助かった。
でも…
咲良母「意識が戻らないんです…もしかしたらこのままずっと意識が戻らない可能性もあるってお医者さんが…」
渡辺「んだよそれ…」
なんでAがこんな目に合わなきゃいけないんだよ。やり場のない感情を俺は自分に当てるかのように拳を握りしめた。
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作者名:雪 | 作成日時:2024年4月6日 18時