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「宮舘さんの方が上手でしょ…」
ラ「舘さんが作ってる時も見てるよ
所作が綺麗で見惚れちゃうの」
それは分かる。
この前ユイと飲みに行った時はカウンターで横並びだったから、あんまり向き合って話さなくて。
視線の落ち着く先が宮舘さんの手元だった。
「はい、どうぞ」
ラ「わ〜オムライスだ！」
「あ…変なものとか入れてないからね？
不安だったら私先に食べましょうか？」
いや、でも1人ひとつ作っちゃったから私が自分のを食べたところで意味ないか…
ラ「ひゃはっ ずっと見てたから分かってるよ」
「あ…そっか…」
ラ「やっぱりAさん、従姉妹に似てるな」
「え？」
「いただきまーす！」ってお行儀良く手を合わせてから大きな口でぱくん！と頬張るラウールくんは弾かれたようにこちらを見た。キラキラのおめめで。
ラ「おいしー！」
「それは良かった…」
安心したら私もお腹が空いていたのを思い出して、ラウールくんと同じように手を合わせて「いただきます」をした。ひと口食べると「ね？美味しいでしょ？」って自分が作ったように得意げな笑顔を向けてくるからおかしくなる。
ラ「おかわりある？」
「チキンライスでおにぎりする？」
ラ「うわ。それいいね」
パクパク。
スプーンを口に運ぶペースが早くなった。
慌てなくていいのに。
「それより、さっきの…従姉妹に似てるっていうのは、」
ラ「ああ！なんかねー似てるの
昔っから仲良くしてくれてたお姉ちゃんに雰囲気が。
だからAさんは平気なのかな？
…怖くない」
そんな簡単に信用しちゃダメだよ…
そう思うけど、
「…ありがとう」
頬を染めながら伝えてくれる真っ直ぐな言葉が嬉しくないはずない。
一人前のオムライスをあっという間に完食して、パパッと作ったおにぎりも３つも食べちゃって、育ち盛りの食いっぷりに驚かされた。
聞けばラウールくんも今日は先生の会議の都合で授業が午前中でおしまいだったようで、ご飯を食べた後はお互い部屋に戻らずリビングでのんびり過ごした。
相変わらずつれないシャチはどこかに隠れていたけど、ツナは私の膝を陣取っていて、ラウールくんに笑われた。
ラ「いつの間にそんなに仲良しになったの？」
「初めましてからだねぇ」
ラ「ふぅん
飼い主に似るって言うもんね？」
その言葉の意味はよく分からなかったけど、たまたま重なったイレギュラーのおかげで彼との距離がグンと縮まったのは確かだった。
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作者名：あむ
| 作成日時：2024年4月5日 23時
