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厨房のど真ん中で食材と向き合っている宮舘さんは店主の貫禄というか、なんていうか…ドッシリしていて。
真剣な横顔を見ていたら、みんな着いて行きたくなるだろうなと思わせられる。

ここが宮舘さんのお店ということは、康二くんも働いているはずだけど…彼の姿は見当たらない。
今で充分店内は活気があるけど…ここに康二くんが居たらどうなっちゃうんだろう。



ユイ「なんかボーっとしてない?」

「…そう?」



一気に飲んだからお酒が回ってるのかも、なんて適当な言い訳をすると、「ほどほどって言ってたのは誰だっけ?」ってツッコまれた。


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「お待たせしましたー!」って次々と運ばれて来る料理はどれも絶品で。
ひと口食べる度にユイと顔を見合わせて謎の沈黙が生まれるほど。
あれも食べたい、これも飲みたいって料理もお酒も注文していくうちにすっかり気持ちがほぐれて、私たちの間にはいつも通りの空気が流れていた。



ユイ「そういえばね、あんたの元彼から連絡来たよ
そういえばって言うかこれが本題なんだけどさ」

「えっ うそ、なんで?」

ユイ「なんでって…結局まだちゃんと話してないんでしょ?」



言われてみれば…自分の中では終わったことになってたけど、思い返せば全部私の一方通行だった。
言い訳の一つも聞こうとせずに言いたいことだけぶつけて、自分は理想の場所へ逃げようとしてる。



「…でも、話すことなんてないんだもん」

ユイ「そう言うと思ったけどね。一応報告。
連絡来たのに黙ってるのも気持ち悪いしさ」

「…なんて言ってた?」

ユイ「それは気になるんだ?」

「そりゃ…」



口籠ってしまったのを取り繕うみたいにグラスに口をつける。そんな私を見てユイはクスクス笑った。



ユイ「謝りたいってさ」

「…」



何を?なんで?
謝るってことは、自分に非があるって認めるってこと…?
謝られたとして、その後は?
好きな人が出来たから別れて欲しいって言われるの?
…もう好きじゃなくなったって、言われるの?



「要らない…」



そんなの、聞きたくない。



ユイ「んね。てめぇが罪悪感からスッキリする為だけの謝罪なんか死んでもすんなって言っといた。墓場まで抱えて生きろ!って。」



ケラケラ笑うユイ。
ああ、ほんとこの子って。



「…最高だね」

ユイ「感謝してよ?」

「んふ 何飲みます?姉さん」



一生着いてくよ。

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作者名:あむ | 作成日時:2024年4月5日 23時

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