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3月、お返しとお誘い ページ14

3月になって、少しだけ暖かくなってきた。

「お返しです」

1人で錬金室で授業の後片付けをしていた時、ヘッケンローゼ先生が現れた。そして、なんとチョコを返してくれたのだ。

「わ、ありがとうございます!」
「……受け取ったから返しただけですからね」
「分かってます。ふふー」

受け取った箱を見ると、少しいいとこのチョコだった。多分、大人だからそういう礼儀みたいなので返したんだよね。

なんでだろう。ヘッケンローゼ先生からチョコを返してもらったってだけですっごく嬉しい。ちょっと顔が熱くなってきた。

「あ、そうだ。ヘッケンローゼ先生」
「……何ですか」

足早に去ろうとする彼に声をかけると、やや鬱陶しそうにしながらも足を止めて振り返ってくれる。鬱陶しそう、というか面倒事はごめんだ、って感じの様子だ。

「春休み、一緒に魔物狩りに行ってくれませんか」

冬休みは一緒に行けなかったから、春休みこそは、って思ってたんだ。だから、勇気を出して誘ってみた。

「なぜ」
「材料が欲しいんです」

錬金術に使う材料が欲しかったんだよね。薬草とか鉱物とか、動物や魔物の骨や皮とか。

錬金素材はお店でも売ってるけど、やっぱり錬金素材は自分で取って新鮮な内に処理をしておきたいんだよね。ヘッケンローゼ先生はそういうのは分かるんだろうか。

「他にも人がいるでしょう」
「人雇うのめんどくさいし、他の先生は用事あるそうです」
「……そうですか」

理由を話せば、彼は納得してくれたようだ。

わたしは危険度2以上の魔物と関わる時は絶対に2人以上で行くって決めてるんだ。そのことも彼に伝えると「堅実で良いと思いますよ」と褒めてくれた。

「どうせ先生も魔物狩りに行くでしょう?」
「……確かに、行きますが」「じゃあ決定! どこ行こうかなー」

反論する前に、被せるようにして言う。そうすると彼は少し困った様子を見せながらも

「……分かりました。一緒に行けば良いのでしょう」

と答えてくれた。やったね!

別の大陸とか行ってみたかったんだよね。それに、危険度の高い魔物を倒せるヘッケンローゼ先生とだったらアメジスト大陸のちょっと強い魔物も簡単に倒せそうだよね?

「行き先、決まってなかったのですか」
「わたしの欲しい素材はどこでも獲れるんで」

欲しい材料について話すと、彼は少し考えた後に

「……春休みは短いですからね。近場ですよ」

そう答えた。

「分かりましたー!」

春休みがすっごく楽しみになってきた。

二年目、二度目の春休み→←2月、バレンタイン



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作者名:鬼灯 | 作成日時:2024年4月10日 14時

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