⚫︎だいだいいろ ページ10
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向井side
楽屋に行けば、前の現場から直行していたらしいすいくんと鉢合わせた。
誰もいなくて、すいくんの体は空いている。
実は、こういうことってあんまりなかったりする。
ラウールがいたら、膝は埋まるし、
しょっぴーがいたら右が左が埋まる。
舘さんか照にいがおったら正面が埋まるし、
めめか阿部ちゃんがいたらすいくんを鑑賞するベストポジションが埋まる。
ふっかさんと佐久間くんやったら、まだ何とかなるけど。
「‥‥。」
「‥‥‥‥。」
空いていた背中にポスッと抱きついても、無言。
身長に見合った大きい背中に突っ伏して大きく息を吸う。
いつもの、すいくんが愛用している香水の匂い。
「あの。」
「んー?」
「動きたいんですけど。」
「‥‥冷たぁ。」
「‥‥いや、別に、ラウみたいにしてくれれば。」
「ええん?!」
「いや、ラウ専用ってわけでもないですし。」
そう言いながら、すいくんはソファに座って、ぽん、と膝を叩く。
そろそろと横に座って、膝の方に上半身を傾ければ、
真下のアングルから読書を始めたすいくんを見る。
‥‥こうやって近くにいれるようになったのも、
最初と比べたら、だいぶ許容してもらえるようになったんだろうと思う。
「あー!!康二くん、そこ俺の場所!!」
「早いもん勝ちや!!いっつもラウールやねんから今日くらい良いやろ!!」
「別に、僕の膝はラウのものじゃ無いからね。」
「‥‥なんか、今日すいくん意地悪!!」
「今日は譲らんからな!!すいくんの膝は俺のモンや!!」
「‥‥みたいだから、ラウは今回は諦めて?」
今日は、すいくんが良いよって言ってくれてんから!!
ラウールにも譲らんからな!!!
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作者名:姫色 | 作成日時:2024年4月13日 17時